天正四四八年 文月弐拾肆日
長きに亘り各武将との合戦に明け暮れていた本願寺一行。上々の戦果を持ち帰り青山占領地に辿り着くと、待っていたのは五千にも上る信徒の姿であった。
待っていたぞ。良く戦っている。口々に掛けられる声に感激したのは小僧吉田であった。此の夏より僧兵となった新参である。然し、先立っての合戦では醜態を晒した。
信徒に無様を晒すわけには。輝きを胸に、吉田は戦場に立つ。絶対的な力を持つ徳川軍が、青山の地に間もなく訪れようとしていた。
此の先鋒に勝利の手柄を。一行は一致団結、第二戦線に敵先鋒今村を此れでもかと締め上げる。此れには白鶴丸と伊達軍より拉致した苦沙弥大魔王も恐怖。思わず進軍を許す始末である。
続き第三戦線にこそ手傷を負ったが、吉田は第五戦線迄を辛々駆け抜ける。良き背中を見せられただろうか。一つ息をつく吉田であった。