―――最終章―――「パットン戦車団よさらば」

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▼「セ界大戦日誌・特別編」▼
https://youtu.be/dyy061pjp98



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 薄くなった日誌のページをめくる研究者たちの表情はどこか暗かった。
 それは、きっと彼らがこの戦いの結末を知っているからだろう。


 お気に入りのキャラクターが死んでしまう漫画のページを飛ばしたくなるようななんとも表現しがたい感情。
 そんな感情を押し殺してページをめくる。





 パットン戦車団、最後の戦いが始まる。





 0448

セ界大戦日誌―――ベイ-ソ最終決戦―――
Saturday October 28,2017


旅立つ彼らを、見送る者はまばらだった。

しかし、セ界王者・広島赤鯉軍を打ち破る金星を挙げると、流れが変わる。
一人、また一人と、
ベイ国の民がヨコハマ・ベイへ集まりはじめる。

ベイ軍がセ界王者に挑みつつある中、パシフィック条約連盟の内部でも変化が起こりつつあった。
かつて隆盛を誇った「ダイエー帝国」を革命によって転覆した孫首席率いる
「ソフトバンク連邦」はその資本力を背景に他国を蹂躙、その食指をセ界にまで伸ばしはじめた。

セ界を守るべく、ベイ軍は立ち上がる。広島赤鯉軍を破った勢いのままにソフトバンク連邦へ進撃した!

しかし、敵の戦力は桁違いであった。「ゴースト」の異名をとる
千賀大佐ヤナギタ・レーザーの攻撃はベイ軍の部隊を焼き払い、深刻なダメージを負った。
しかしまだ諦めない。戦闘は2日目に突入した。

逆襲を期したいベイ軍は
今永少佐を出撃させる。
魔獣デスパイネ
に噛みつかれる等の損害はあったが、被害を最小限にしつつ進撃を続ける。
すると迎えた第6戦線、
梶谷中将の砲撃が敵の右翼陣地に命中!戦況を均衡状態に持ち込んだ。
さらには
宮﨑豆戦車が砲撃!轟音とともに左翼陣地をぶち破る!
戦士たちが一歩一歩、勝利への架け橋を伸ばしていく。

敵は変わっても、すべき仕事は変わらない。
全力で戦い、勝利をもたらせ。

ヨコハマベイでは、大群衆が我らの帰りを待っている。

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068513389.html


 0538
セ界大戦日誌
Tuesday October 31,2017
将軍は、目を疑った。
頼れるゲリラ少女、
クララちゃんの内通!
福岡基地奥深くに攻め込んでいたベイ軍は大混乱に陥り、屈辱の敗北を喫した。

逆さ磔(はりつけ)にされたクララちゃんを残し、ベイ軍はヨコハマ・ベイに帰還。
それを追撃してきたソフトバンク連邦との間で第3戦の幕が開ける。
ベイ軍の先発隊は
ウィーランド准将。対する敵将は「生ける伝説」の異名をとる武田少将である。

戦闘はベイ軍劣勢のうちに進展する。
開戦劈頭、かつての戦友、
聖内川大将の狙撃がウィーランド准将を襲う!
一方のベイ軍は
桑原突撃隊、梶谷中将が「ベイ軍万歳」との言葉を遺して突撃。一人も帰らなかった。

懸命の反撃を試みるベイ軍は第4戦線、ロペス中将が砲撃!反攻の狼煙をあげる。
さらに動揺した敵陣に颯爽と
柴犬が突入!しかし、ひときわ甲高い声が響いたのを最後に、彼もまた戻ってはこなかった。

しかし第六戦線、ベイ軍に彼女が帰ってくる。
不敵な笑顔、やわらかな目つき、似合わないヒゲ。
ゲリラ少女のクララちゃんが帰還したのだ!

騒然とするヨコハマ・ベイの群衆を一瞥したあと、匍匐前進で敵地を突破!
兵士たちは皆、拳を突き上げた。

迎えた第9戦線、いまだ逆境に立つベイ軍は、パットン戦車団を投入する。
ここヨコハマ・ベイで反攻し、必ずや屈辱の福岡基地へと戻る。
兵士たちを前に、パットン将軍は宣言した。
"I shall return."

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068544351.html


 0647

セ界大戦日誌
Wednesday November 1,2017
上を向け、ヨコハマ

縦横無尽のソフトバンク連邦の攻撃により、セ界は滅亡の淵に立たされていた。

絶望し悲嘆にくれる兵士たちの中で、立ち上がった男がいた。
新兵・
濱口少尉候補生である。
居並ぶ頼もしい先輩たちが、彼をこの舞台へつれてきてくれた。
今この瞬間が、恩返しをする最高のチャンスである。

若武者は鬼人のような戦闘で、ソフトバンク連邦軍を押し返していく。
すると、倒れていた兵士たちは一人また一人と立ち上がり、敢然と敵に向かっていった。

まずは、ほぼ死んでいたかと思われた
桑原突撃隊が突撃!ヨコハマ・ベイに、彼の雄たけびが帰ってくる。
続いて
宮﨑豆戦車が動き出す!会心の砲弾はソフトバンク連邦軍の左翼陣地を粉砕した。
さらにはゲリラ少女のクララちゃんも躍動、梶谷中将との連携で敵をかき乱す。
軍用犬の柴犬は、軽快なステップで砲弾を処理してベイ軍を守る。

我らのベイ軍が、ついに帰ってきた!

「(やっと本来の力が)出たわね。」
「(福岡に帰るために横浜から)出ていきなさい!」
セ界のライバルたちも、きっとどこかで見守ってくれている。
濱口少尉候補生が弾薬を打ち尽くした頃、彼の後ろには頼もしい仲間たちがいる。

第八戦線、光の中心には
パットン戦車団が威容を誇る。

戦え兵士たち。
我らの目的は、この舞台に立つことではない。
この舞台で勝利することなのだ。

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068559036.html




 0750

セ界大戦日誌
Thursday November 2,2017
さらば!ヨコハマ・ベイ

巨大戦力・ソフトバンク連邦に一矢を報いたベイ軍。
勢いに乗って畳みかけるべく出撃したのは、
石田中佐である。
対するソフトバンク連邦は、バンデンハーク少将が姿を現した。
戦闘はやはり序盤から苦戦を強いられる。
内川大将
の射撃により主導権を失うと、バンデンハーク少将の猛射が次々とベイ兵をなぎ倒す。絶望的な戦況かに思われた。

だが迎えた第4戦線、ベイ軍は決戦兵器を投入する。
動き出した
筒号戦車は、天地を揺るがす砲声を響かせて敵を猛撃!戦況をひっくり返す。

この歓喜が、石田中佐を支えていたなにかを断ち切った。
怒涛のごとく攻め入るソフトバンク連邦の攻撃を真正面から受けた石田中佐は、木端微塵に玉砕してしまった。

その無念にこたえたいベイ軍は即座に反攻を開始。
第六戦線、
桑原突撃隊が颯爽と出陣!柴犬はかるく捻られるもロペス中将・筒号戦車・宮﨑豆戦車が次から次へと砲撃!
戦況を均衡状態に持ち込んだ。
さらにラミレス元帥はベイ軍の
守護神ミネーイを召喚する。
すると天の思し召しか、連邦海軍の
工作艦・明石が内通!
宮﨑豆戦車から放たれる甘い香りに誘惑されてしまったようだ。
筒号戦車が司令部へと帰還し、戦闘の主導権はベイ軍のもとに握られる。

迎えた第8戦線、ベイ軍はパットン戦車団に出撃を命じる。
戦いは終わらない。我々の道はまだ続く。
福岡へ、その先へ。

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068575089.html


 0873

セ界大戦日誌
Saturday November 4,2017
▼「パットン戦車団」特別編Part.2▼
https://youtu.be/cyRxZeYo0mQ



万雷の歓呼を背に、ベイ軍はヨコハマ・ベイを旅立った。
向かうは決戦の地、
福岡要塞
この場所で喫した屈辱を、今ここで晴らすときがきたのだ。

ベイ軍先発隊は
今永少佐。戦果の如何にかかわらず今日この日が最後の戦いとなるであろう彼は、全身全霊を戦場に注ぎ込む。

戦闘序盤、ソフトバンク連邦軍の
熱男軍曹が今永少佐を砲撃する。
しかしベイ軍も即座に反撃。「特攻野郎」の異名をとる
白崎隊が渾身の砲撃を見舞うと、戦況は均衡状態に持ち込まれた。
中継ぎ中隊を運用するソフトバンク連邦軍に対し、ベイ軍は攻撃の手を緩めない。
韋駄天・
梶谷中将が自らを犠牲に活路を開くと、そこへロペス中将が猛射!
彼の雄たけびととともに、ベイ軍はついに戦闘の主導権を握る。

これを受けて今永少佐も渾身の射撃を続ける。
第6戦線には敵軍の侵攻を受けるも、魔獣デスパイネを討ち取って危機をしのいでみせた。

そして迎えた第8戦線、
ラミレス元帥はあの男に出撃を命じる。

ゆくぞ!パットン戦車団。
青い暖簾をなびかせて。

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068607541.html


次がいよいよ最後だと覚悟をきめて、研究者は日誌をめくる。
だがそこにあったのは栄光の勝利の記録ではなく、無機質なありあけハーバーの箱の底と小さなメモ書きであった。

最終章-2


62: 名無しさん 2017/11/04(土)23:10:33 ID:znB
戦争は終わった。
ベイ軍は最後まで果敢に闘うも、最終的に敵地にてソ連の最終防衛ラインを越えることは出来ず、降伏せざるを得なかった。
だが、この敗北はけして無駄ではない。
何時かベイ軍による勝利の栄冠を掴むまでは戦いは続くのだ…!

さあ、悲しむのは終わりだ。
胸を張って、次の戦いに向けての準備と体勢を建て直すのだ。

パットン戦車団とベイ軍の戦いはこれからなのだから…!




 パットン戦車団と名もなき兵士たちの戦いは、終わったのだ。




 セ界大戦日誌につづられた生々しい描写からは、ベイキュレーションサイトが喧伝する華々しい戦果は見てとれない。
 そこにあったのは、目の前に突き付けられた現実を最後まであきらめず戦い抜くベイ軍の姿だった。




 死闘の中でつづられたセ界大戦日誌を読み終えた研究者は最後に、住人の老婆にどうしても気になっていた事を尋ねた。
 なぜ、今になって真実を明かしてくれたのか。
 



 「伝えるなら、今しかないと思いましたから。」
そう言って彼女は、古びたラジオからイヤホンのプラグを引き抜いた。
すると、ラジオのメイン・スピーカーはノイズの混ざった音を響かせる。
最終章-3


それは歓声であった。歓声の中から、興奮気味のアナウンサーの声が聞こえてくる。



「……ーズ、日本一!99年ぶり3度目の日本一です!」



いつしか雨は上がり、濃紺の空には星が輝いていた。

最終章-4






管理人よりあとがき
ここまで読んで下さった方ありがとうございました。
後から振り返ると「もっといろいろできたかなぁ」という思いもありますが、最後まで終えることができてひとまず安心しております。
ずっと前からネットにある「才能の無駄遣い」を何らかの形で残したいと思っていたので、一つこういう形で残すことができて満足してます。

最近ではネット内で無駄遣いされていた才能が現実世界へ羽ばたいていく事例が増えた為、自分と見知らぬ誰かが楽しむためだけに消費される才能が減ってきたように感じます。
管理人はそんな無駄遣いされる才能を見るのが好きなので、スレに投下された「セ界大戦日誌」を見たときはとてもわくわくしました。何か報われるわけでもない「名無しさん」が無駄な才能を発揮する瞬間は本当に素晴らしいですね。
今回の企画を通して「こんな人たちいるんだよ」というのをより多くの人に知ってもらえたらうれしいです。

最後に、管理人からの無茶ぶりを快く引き受けてくれた文豪ニキ、柴犬ニキ、本当にありがとうございました。そして、いつも楽しませてくれるお絵描きニキ、名もなきベイ兵たち、そしてセ界大戦日誌読者の皆さん、やきうお絵かきまとめを見に来てくれる全ての方にもこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。
またシーズン中にお会いしましょう。
by 管理人