―――第六章―――「王者への挑戦」

六章-1


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すっかり夜も更けつつあったが、嵐はなおも強さを増していた。
強風は戸板を鳴らし、電気はチカチカと瞬く。どうやら台風が迫りつつあるらしい。



帰りの電車が気になった研究者の一人が、続きは明日にしないかと提案した。
六章-2




「天気が悪いからといって、中止になんかしたらいけませんよ。」
そんな彼を、老婆はやや厳しい口調で咎めた。




「安心して下さいな、嵐はいつか止みます。あの時もそうでした。」
そう言って老婆は目を細め、戸棚の上に飾られた錆びたネジに目をやった。



恐ろしく太く頑丈そうなネジは、戦車の部品のようであった。
六章-3




広島赤鯉軍の本拠地・広島国会に乗り込んでおきながら、台風のために進撃ができなくなっていたベイ軍。
動揺する兵士たちの中心には、筒号戦車があった。




嵐は西より来たりて、やがて去っていく。





そして、ラミレス元帥の命令一下、ベイ軍の最も輝かしい日々が始まる。
六章-4







セ界大戦日誌
Wednesday October 18,2017

次はお前だ。

コーシェン要塞での激闘を制したベイ軍は、一路西へむかった。往く手に望むは広島鯉赤軍・鯉の党が籠る広島国会である。

「悔しいわね…」
光の中へ去っていった名将の無念をも、我々は背負っているのだ。

失うものは何もない。ド派手に戦い、赤き王者に一泡吹かせる。
誰よりもその思いが強いのが、ベイ軍先発隊の石田中佐だ。

戦闘終盤、連日の出撃にも拘わらずパットン将軍は疲れの色を見せない。

広島国会の最奥では、中崎精肉店の店長が仕込みを続けている。
柔和な顔つきは、すでに剽悍な戦士のそれに変わった。
その怪力で、ツバメ空軍、タージマハル帝国、大読売帝国、ティーガー軍団を葬ってきた。

肉切り包丁を黙々と研ぎながら、小さくつぶやく。

「ツギハオマエダ…」

※なお
CSファイナル初戦
ポストシーズンということもありいつ起用されるかわからないので常に準備。
雨天コールドは堪えた。 by筆者



セ界大戦日誌
Thursday October 19,2017

次はお前だ。

コーシェン要塞での激闘を制したベイ軍の次なる敵は、鯉の党・広島赤軍である。

「悔しいわね…」
光の中へ去っていった名将の無念をも、我々は背負っているのだ。

たどり着いた広島国会。失うものは何もない。派手に戦い、王者赤鯉に一泡吹かせる。
気合いをたぎらせて臨んだ初戦だったが、やはり王者の前に苦戦を強いられる。さあ反撃と意気込んだ直後、豪雨による停戦命令が下った。

その身を雨にさらしながらも、兵士たちは誰一人その場を離れず、広島国会の戦跡をにらんでいた。

あけて今日、雨の上がったのと同時に一斉攻撃を開始するベイ軍。
懸命の防戦を試みる官僚・野村主任は筒号戦車を破壊するも、同時に現れた宮崎豆戦車の攻撃を防ぎきれない。
戦況は昨日と打って変わって、ベイ軍優勢に展開した。
しかし筒号戦車の整備不良もあり、なかなか追撃を加えることができない。

一方のベイ軍先発隊・濱口少尉は赤鯉軍の猛攻撃に苦しんでいた。
中でも機敏な動きを見せる田中遊撃隊が執拗に攻撃を続ける。
第四戦線には若武者・西川騎兵隊の襲撃が濱口少尉を襲った。この地では、一瞬たりとも気が抜けない。新兵濱口の精神は張り詰めた糸のように極限状態にあった。

そんな彼を救うべく、ラミレス元帥は決断する。普段は筒号戦車の整備兵を務めるニコラス中尉を抜擢し、戦場へ投入したのだ!
これに応えたニコラス中尉は野村主任を攻撃!待望の援護射撃に、拳を握ったのは濱口少尉だ。
その後もベイ軍は戦闘の主導権を握らず、戦闘終結に向けてパットン将軍は堂々の進撃を開始した!

そのころ、広島国会の最奥では、中崎精肉店の店長が仕込みを続けていた。
柔和な顔つきは、すでに剽悍な戦士のそれに変わる。
その怪力で、今までにツバメ空軍、タージマハル帝国、大読売帝国、ティーガー軍団を葬ってきたのだ。

男は黙々と肉切り包丁を研ぎながら、小さくつぶやく。

「次はお前だ。」

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068352342.html




セ界大戦日誌
Friday October 20,2017
かつてパットン将軍と共に世界一をつかみ取った戦友たちは今日、静かに武器を措いた。
場所をセ界に移してなおも戦い続けるパットン将軍。終局に向かう戦争は激しさを増している。

鯉の党・広島赤鯉軍との激闘は3日目に突入した。
地の利を持たぬ強敵に圧倒されつつあるベイ軍の背後から、空を圧して井納宇宙艦隊が出現する。
ティーガー軍団との戦いから幾日、燃料補給を終えた友軍が続々と集結を開始したのだ。

戦闘は序盤、井納艦隊の砲撃のよってベイ軍有利に幕を開ける。一方の赤鯉軍は粘り強い戦闘で、井納艦隊の燃料を消耗させていった。

その後は両軍とも決め手を欠く展開が続く。
陣中深く進攻しては、撤退を余儀なくされる場面が相次いだ。

いつしか、戦闘は第8戦線を迎える。
地雷原を歩くかのような緊張感が、パットン将軍を襲う。
しかし、歩みださなくてはならない。
勝利のみが、我々を存在させ続けるのだから。

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068368228.html
セ界大戦日誌
Monday October 23,2017
嵐が去った時、空は抜けるように澄んでいた。

台風のために48時間の停戦命令に服していた両軍は、沈黙のうちに整備を続けていた。
あけて今日、ベイ軍は満を持して先発隊にウィーランド准将を抜擢。
対する赤鯉軍は、燃料補給を終えた薮田隊を投入した。

開戦劈頭、王者の意地か、赤鯉軍が破壊力を発揮する。
codename[Big-Face]と相対し、距離感をつかめずにいるウィーランド准将はたちまち猛攻を受けた。
これで戦闘の主導権を失ってしまう。

たちまち大歓声に包まれる広島国会。ベイ軍将兵を恐怖感が蝕んでいく。
混乱したかロペス中将は味方のはずの軍用犬・柴犬を砲撃してしまう。

これに喝を入れたのは筒号戦車の砲撃!
静まり返る広島国会で雄たけびが上がる。
「まだ終わっていない」

するとその思いに応えたか。ゲリラ少女のクララちゃんは敵のやべー奴が跳梁跋扈する右翼陣地に単身切り込む!
これに応えたのは若き突撃隊長・桑原一等兵だ。渾身の砲撃でクララちゃんの帰還を援護する。
さらには軍用犬の柴犬とロペス中将の連携プレーによって赤鯉軍・クリャーレン元帥を翻弄!
戦況好転とともに、ベイ軍に団結が戻ってきた。

その勢いのままに進撃したいベイ軍だが、新たな敵が立ちはだかる。
その名は今村大臣。キレのある答弁でベイ軍の猛攻に耐え、議席を守り抜いてみせた。
その直後、赤鯉軍の猛攻がベイ軍を襲う。砂場を展開して逃げようにも砂は台風により泥にかわっていた。
絶対絶命かと思われたその時、ラミレス元帥は三上中将を大抜擢!
襲い来る赤鯉軍をちぎっては投げの大立ち回りを見せると、いまだ火の手のあがる敵陣で突如バーを開店し酒盛り!赤鯉軍は訳も分からず退却した。
名将の采配は、ベイ軍を窮地から救った。

迎えた第8戦線、パットン戦車団のエンジンが轟音を響かせて侵攻を開始した。

嵐が分厚い雲を吹き飛ばし、空には星が燦然と輝く。
同じ空の下、ヨコハマ・ベイでは無垢な民衆が我らの凱旋を信じている。
民衆の敵を押しのけて、進め!パットン戦車団。

※なお
接戦で終盤なので当然出番があると考え準備するもまさかのリリーフ今永回跨ぎ。





セ界大戦日誌
Tuesday October 24,2017
響き渡る赤い歓声が、ベイ軍に立ちはだかる。

セ界王者・広島赤鯉軍に挑むべく始まった大遠征は、ヨコハマ・ベイを出発してすでに10日を数えていた。
しかしその日々も、ついに最終局面に突入した

ベイ軍の先発隊は石田中佐。対する赤鯉軍は官僚・野村主任である。両者とも今回の連戦では一度苦杯をなめており、雪辱に燃えていた。

開戦劈頭、後がない赤鯉軍の猛攻が石田中佐を襲う!
突然の猛攻に石田中佐は戦死!ベイ軍は総力戦に突入した。
石田中佐に代わって出陣を命じられた三嶋大佐は、若き日の野村主任に愛する人を奪われたという遺紺をもつ。
彼の執念が、ベイ軍に力を与えた。
宮崎豆戦車、桑原突撃隊の砲撃が相次いで炸裂!野村主任も早々に戦場を去ることとなった。
変わって出現したのは鯉の党お抱えの大瀬良記者。これに対しベイ軍は筒号戦車を投入しこれを蹂躙!
切れ味鋭い質問も徹甲弾の前には如何ともしがたく、大瀬良記者は悔し泣きにくれるばかりだった。
この涙に応えたい赤鯉軍重鎮・新井大将。渾身の砲撃は
、広島国会を沸騰させる!
鯉の党支持者の熱気が瀕死の猛鯉に血を通わせる。

迎えた第8戦線。パットン戦車団が仕事場へと赴く。
手負いの赤鯉軍はなおも立ち上がり、鯉の党の幾万の支持者たちは奇跡を信じて疑わない。

一瞬の油断が命取りになる狂気の戦場。
戦え、パットン戦車団。
今宵敵地に響き渡るのは、沈みゆく鯉の断末魔だ。

http://oekaki-navi.blog.jp/archives/1068432384.html



 王者・広島赤鯉軍に逆襲を果たし、歓喜に沸くベイ軍とヨコハマ・ベイ。
最終章-1





 パットン将軍の英雄譚としてはこれ以上ない幕切れに思えた。
がしかし、日誌はまだ続いている。


 パットン将軍との日々は、残酷な終焉を迎えようとしていた。



―――最終章「パットン戦車団」よさらば―――へ続く・・・






パットン戦車団セ界大戦日誌まとめ
ナレーション:文豪ニキ書下ろし
絵:柴犬ニキ

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